【吹奏楽部必見】短時間で効率的な基礎合奏を考える

音楽

7月から吹奏楽コンクールが始まり、審査の結果に一喜一憂する学校が多いかと思います。残念ながら地区大会で終わってしまった学校の中には、コンクールの審査講評に「もっと響きのある音を」とか「裏打ちをするリズム感を」といった基礎力を問われるような内容も見受けられるでしょう。

今回は長年吹奏楽に携わってきた私が基礎力を上げる基礎合奏に関して考えてと思います。

“正しい”基礎合奏

まず、初学者の方もおられると思うのではじめに言いますが、「基礎合奏に正解はない」ということです。これは基礎合奏だけでなく、吹奏楽や音楽全般にも言えたことで、言い換えれば誤りはあるが正解はないということです。

例えば、合奏にて部活の顧問の先生が「ここはもっと主旋律を!」と言っていたが、その部分を外部の講師は「ベースラインを主体で」と言うことがあるように正解は音楽を作るその人によると言うことです。ただし、全てが正解ではなく音楽的な誤りというのもは存在するので気をつけましょう。

自分たちのバンドの問題点を把握する

どんな練習においても大前提として”目的意識を持って取り組む”ということを心がけると良いでしょう。そのためには何を改善すべきなのかというものを明確にすることです。

例として挙げると

  • 音のアタックが弱い
  • 音程が乱れる
  • ハーモニー感が薄い

などがあるかと思います。このような問題は普段の合奏やコンクールの審査講評から見つけられると思います。そして、大切なのが”問題を一気に解決しようとしない”ということです。指導者のあなたは理解できていても演奏者側はそれを理解できなかったりすることが多々あります。そんな時に心がけて欲しいのは奏者全員、一人ひとりに寄り添うことです。もし、こちら側(指導者側)の伝えたいことがわからなかったり、できないことがあるとすれば時間を惜しまず費やすべきです。

全員が主体性を持って取り組む

これは先ほどお話しした「問題を一気に解決しようとしない」の続きになりますが、指揮者や指導者の「独りよがりな行動」はバンド全体を乱します。ただでさえ嫌われ役の指導者ですから、急に基礎練習メニューを変えたり色々押し付けられてしまうと必然と反抗心が湧いてしまいます。ですから、演奏者自身もバンドの問題を認識して、主体性を持って取り組むことで成果が上がります。ここで気をつけておきたいのが基礎合奏を始める前に”どんな問題を解決するためにどんな練習をするのか”を伝えることです。毎回言わなくて良いですが、そうすることで自然と意識することができます。

効率の良い練習方法を見つける

ここでいう効率の良い練習方法とは、ただ単に”複数の課題を一つの練習でカバーする”という意味ではなく、”実際の曲に応用できる練習方法”というものに関してお伝えしたいと思います。

例えば、楽曲の中で「8分や16分音符のリズムが揃わない」や「”ここ!”というところで綺麗なハーモニーが作れない」という課題があったとします。それに対する練習方法として「カデンツ」と「リズム練習」を組み合わせた方法というのが選択肢の一つとして挙げらえます。特に16分のリズム練習などと組み合わせるととても効果的ですし、「調性を意識する」という課題まで得られることができます。これらの「カデンツ」、「リズム練習」、そして「調性の意識」を分けて練習するよりも、3つのことを意識しながら十分に時間を使って練習を行うことで効率的かつ効果的な練習ができるのではないでしょうか。

基礎合奏のその先に

基礎合奏で身につけた感覚やスキルは楽曲に取り組むことで初めて発揮されます。しかし、初めのうちは効果はほとんど感じられないかもしれません。しかし、1ヶ月も継続して練習していれば自然と曲の縦が揃ってきたり、ハーモニー感が出てきて曲のメリハリがつくでしょう

そして、そのような基礎の基礎とも言える力がついてきたら「初見合奏」「コラール」などの練習も効果的になります。その際も必ず”何を意識するのか”というのは明確に指示するとより良いでしょう。

初見合奏で気をつけたいこと

”初見合奏”という言葉、音楽を始めたばかりの人はあまり馴染みがなく、その意味を「楽譜を見てすぐに吹く!」というふうに認識される方も多いかと思います。それは決して間違いではないのですが、多くの場合”予見”という時間が設けられ、定められた任意の時間は音を出さずにひたすら楽譜を読み込むということです。

ここで大切なのは”音を出さずに”という点です。私が思うに予見時間に音出しをしてしまうと、音階を確かめたり、楽器を吹くことに意識が向いてしまい本来の意図を見失いがちになってしまいます。もちろん、音階に目をむけることは大切ですが初見合奏では”拍子”や”調性”、”テンポ”が一番大切だと考えます。この3つが読み込めて初めて難しい連符などに目を向けていくことで、自分の吹いている場所がわからなくなる”迷子”になったり、「よくわからないうちに終わってしまった」ということが徐々に減ることでしょう。

コラールってなに?

”コラール”という言葉、吹奏楽をやっている方なら一度は聞いたことがある言葉だと思います。コラールというのはキリスト教会で伝統的に歌われてきた単旋律に他の3声を下声として付け加えて4声とした合唱曲のことを指します。吹奏楽におけるコラール練習は旋律を意識する練習として度々用いられます。JBCなどの教則本に載っているコラールで十分ですので、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。

自分たちのバンドと向き合う

コンクールやイベントが近くなると必然と焦ってしまいあれやこれやと必要以上に余計なものに手を出してしまう指導者は多くみられます。そんな時に意識的に目の前のバンドと向き合って、”今必要なもの”をしっかり認識しましょう。焦らなくて良いので、一つひとつ確実に問題を解決しましょう。自ずと結果は追いついてきます。皆さん、基礎を磨いて最高の音楽ライフを送りましょう。

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